やまびこ観測所

世の中で起こっていることを観測して記事にしていきます。

ラグビー観戦を楽しんでいる(3)

日本戦がいちばん気持ちが入るけど、やっぱりワクワク通り越してドキドキし過ぎて、心臓に負担が掛かって仕方ないので、それ以外の試合の方が実は楽しんで観ていられるのかもしれない。

10月19日、ニュージーランドアイルランド
アイルランドがどこまで粘れるかというところかな、と思っていて、案の定というか46対14でオールブラックスの勝利。途中まではもしかして完封かも、という状況だったので、アイルランドに点が入ったときにすこしほっとしてしまった。
前にアイルランドスコットランドを観ていて、スコットランドを封じ込めていた記憶があったので、あのアイルランドがこんなことに……と、納得しつつもニュージーランドの強さにあらためて感じ入った。

オールブラックス曰く、「シンプルなことをやり切るのがわれわれの強さ」とのこと。
個々のプレーも、練習のお手本にしてほしい、と解説が表現するくらいまで洗練されていて、かつ、まとまり感がすごいと思った。チームメンバーに対して詳しくないせいもあるが、15人全員がオールブラックス!という印象を抱いた。皆が同じように見えてしまった。

解説者のコメント。
・ボールを持ったときの選択肢はパス、キック、ラン……。いろいろあるが、ひとつひとつに正解、不正解はない。(ボールを持っている選手のとった選択肢に対して)それに対して全員が同じイメージを持って連動している【イメージの共有が大事】
ラグビーはボールを後ろに繋がないといけないが、後ろに繋いだボールに対して、勢いよく前に出ることによってボールを前に運ぶ。前に見ながら、ひとつひとつのプレーを精度高くやる
・ボールを持てばどこからでも攻撃できるチーム(下手にキックで処理することもやりづらい)
・オフロードパス、タックルを(「受けながら」というよりも)入れさせて、相手の力を利用しながらパスを行っている

強い理由は解説の通りなんだろうけど、強さを出せるが故に、良い連鎖になっているのだろうな。相手に対して優位にたって試合を運んでいけば、平常心でいられる。逆に、プレッシャーを受けてしまうと、受け身の消極的なプレーになりかねないし、焦ると「普段ならしないようなミス」をしてしまう。アイルランド代表が、前回のスコットランド戦とはちょっと違うチームに見えたシーンもあった。

観戦している自分についての気づき。
スポーツだろうと勉強だろうと仕事だろうと同じなのだろうが、「わからないことがわかってくる過程」が面白いなと思った。全くもって未知の状態から、言葉の意味がわからない、ルール(論理)がわからないということに気づき、経験を塗り重ねるうちに、おぼろげにわかってくるという流れ。あるいは、個々の事例を見ながら解説してもらって、「今のはこういうことだったんだな」「これはさっきもあった反則だな」とかわかってくる。ここ数年くらいの自分は、趣味も娯楽もいろいろ囓ってみるのが面白いと思っていて、個々の趣味も楽しいのだけれど、それを物にする過程に興味を持っている。なお、飽きっぽいというか、次の新しいことに興味が移ってしまうことが多いので、継続して深耕するにはあまり至らない状況。

ラグビーが盛り上がってきたのは、ワールドカップの日本開催もあるけど、映像技術が進歩したおかげだ、という話題が出ていた。空中を縦横無尽に移動するカメラのおかげで、多方向からの視点が面白いし、何が起こっているのかが理解しやすい。スクラムも、上から見るのがわかりやすいかな?と思っていたが、真横からの映像も中々の迫力。試合をいくつか見るなかで得られてきた感覚。

10月17日発売の雑誌Number 988号。
日本の初戦、すごく緊張していたロシア戦についての振り返りの記事があった。
たしかに当初はガチガチでミスも多かったけど、途中からよくなった。
ミスをした後、「吹っ切る」って感覚が大事だなぁと思った。自分の経験は卑近かもしれないが、緊張とか焦りへの対処は「ええい ままよ」とか「もうどうにでもなーれ!」という、ある意味で「諦め」かな。
「パフォーマンスが悪い時、自分の弱さを認める」のは強みだという話も。うまくいかない身体、それを観察するもう一人の自分を持つことで、リカバリーが可能なのだろう。

あとは、「戦術はいくらでも変えられる」ということ。相手のあるスポーツなのだから、ただ己の自己ベスト(客観的な指標、タイムとか)を出せばいいスポーツとは違い、「何をどのようにやるか?」に選択肢がある。でも、その中で軸となることと、変更しやすいことを分けて考える必要がある。
また、やりたかったことを完全に出来なくても「一貫性を保つ」という表現があった。おそらく、「目標を立ててそれを遂行する」という流れ(PDCA)をめざし、立てた目標のためにどう行動できたか?を振り返れば、相手の邪魔が入って結果うまくいかなかったとしても、目標達成のための姿勢を取れたか、という視点での振り返りが可能なのだろう。「結果重視or過程も重視」の二元論ではなく、あくまで目的は結果を伴わせることなのだろうが、過程をきっちりと検証することで、次に向けての冷静な分析や変更ができる。

さて今晩は……、いよいよ日本代表対南アフリカ代表!
事前のインタビューで、選手達が「楽しみ」と言っていたのが印象的だった。
もうここまできたら、これまで見ていなかった新しい世界なのだから、「あとはやるだけ」なのだろうな。

冒頭、日本代表戦以外の方が楽しめるかも、と書いてみたが、あれは嘘だ。