正倉院の世界-皇室がまもり伝えた美-(2)
これの続き。
https://miyakoshi.hatenablog.com/entry/2019/11/21/223401
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・螺鈿紫檀五絃琵琶
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000010076
後期に展示されていたのはごく最近の模造品。
弦には上皇后陛下が飼育された蚕の品種「小石丸」を使ったとのこと。
古来からの品種を維持していくというのは大事なことなのだな。これだけ豪奢な装飾と、楽器として弾ける、ということが両立できているのがスゴい……
・紫檀木画槽琵琶
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000014803
ペルシャ起源の四弦の琵琶、とのこと。いかにも異国情緒が漂う。
・竜首水瓶
http://www.emuseum.jp/detail/100214/001/009?x=-144&y=-59&s=1
注ぎ口は竜のモチーフ。目には緑色のガラスが埋め込まれて、力強い雰囲気。
全体的には優美、繊細。ボディ部分にはペガサスが細かく彫り込まれている。
・漆胡瓶
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000010145
聖武天皇遺愛の品、とのこと。
鹿や鳥、草花が自由に描かれていて、見ていると心が和む風景。
・白瑠璃碗
後期みどころの一つ!
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000011989
失礼千万ながら、現代であれば古道具屋さんでも見かけそうだな…とふと思ってしまった。
それほどに汎用性があるデザインというか、千数百年前なのにすごい、というか。
照明が当てられると、反対側の面から入った光が切り子ごとにキラキラ反射していて、これは現物ならではだなぁと楽しんだ。
・動物闘争文帯飾板
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/heritagebig/408103/1/1
とても異国情緒のある文様。
2対になっていて、それぞれ馬が別々の獣に襲われている様子が描かれている。
騎馬民族に好まれるモチーフとのこと。
西洋の影響も少し感じられ、様々な文化がシルクロードを経て伝わってきたことを想像させられた。
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この手の展示を、博物館で見るか、美術館で見るかといったスタンスの違いを思う。両者は完全には分離しきれないものだろうが、どこか異なるニュアンスがある気がする。博物館の視点は「物品を客観視する冷静さ」、美術館の視点は「作り手の思いをよみとる」。もしかしたら、そんなように説明できるかもしれない。
展示会タイトルがあらわす通り、昔々の宝物が良好に保存されてきたのは、皇室のものだったからということが大きいのだろうなぁ。
佳き品々を見られてよかったです。