ラグビー観戦を楽しんでいる(3)
日本戦がいちばん気持ちが入るけど、やっぱりワクワク通り越してドキドキし過ぎて、心臓に負担が掛かって仕方ないので、それ以外の試合の方が実は楽しんで観ていられるのかもしれない。
10月19日、ニュージーランド対アイルランド。
アイルランドがどこまで粘れるかというところかな、と思っていて、案の定というか46対14でオールブラックスの勝利。途中まではもしかして完封かも、という状況だったので、アイルランドに点が入ったときにすこしほっとしてしまった。
前にアイルランド対スコットランドを観ていて、スコットランドを封じ込めていた記憶があったので、あのアイルランドがこんなことに……と、納得しつつもニュージーランドの強さにあらためて感じ入った。
オールブラックス曰く、「シンプルなことをやり切るのがわれわれの強さ」とのこと。
個々のプレーも、練習のお手本にしてほしい、と解説が表現するくらいまで洗練されていて、かつ、まとまり感がすごいと思った。チームメンバーに対して詳しくないせいもあるが、15人全員がオールブラックス!という印象を抱いた。皆が同じように見えてしまった。
解説者のコメント。
・ボールを持ったときの選択肢はパス、キック、ラン……。いろいろあるが、ひとつひとつに正解、不正解はない。(ボールを持っている選手のとった選択肢に対して)それに対して全員が同じイメージを持って連動している【イメージの共有が大事】
・ラグビーはボールを後ろに繋がないといけないが、後ろに繋いだボールに対して、勢いよく前に出ることによってボールを前に運ぶ。前に見ながら、ひとつひとつのプレーを精度高くやる
・ボールを持てばどこからでも攻撃できるチーム(下手にキックで処理することもやりづらい)
・オフロードパス、タックルを(「受けながら」というよりも)入れさせて、相手の力を利用しながらパスを行っている
強い理由は解説の通りなんだろうけど、強さを出せるが故に、良い連鎖になっているのだろうな。相手に対して優位にたって試合を運んでいけば、平常心でいられる。逆に、プレッシャーを受けてしまうと、受け身の消極的なプレーになりかねないし、焦ると「普段ならしないようなミス」をしてしまう。アイルランド代表が、前回のスコットランド戦とはちょっと違うチームに見えたシーンもあった。
観戦している自分についての気づき。
スポーツだろうと勉強だろうと仕事だろうと同じなのだろうが、「わからないことがわかってくる過程」が面白いなと思った。全くもって未知の状態から、言葉の意味がわからない、ルール(論理)がわからないということに気づき、経験を塗り重ねるうちに、おぼろげにわかってくるという流れ。あるいは、個々の事例を見ながら解説してもらって、「今のはこういうことだったんだな」「これはさっきもあった反則だな」とかわかってくる。ここ数年くらいの自分は、趣味も娯楽もいろいろ囓ってみるのが面白いと思っていて、個々の趣味も楽しいのだけれど、それを物にする過程に興味を持っている。なお、飽きっぽいというか、次の新しいことに興味が移ってしまうことが多いので、継続して深耕するにはあまり至らない状況。
ラグビーが盛り上がってきたのは、ワールドカップの日本開催もあるけど、映像技術が進歩したおかげだ、という話題が出ていた。空中を縦横無尽に移動するカメラのおかげで、多方向からの視点が面白いし、何が起こっているのかが理解しやすい。スクラムも、上から見るのがわかりやすいかな?と思っていたが、真横からの映像も中々の迫力。試合をいくつか見るなかで得られてきた感覚。
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10月17日発売の雑誌Number 988号。
日本の初戦、すごく緊張していたロシア戦についての振り返りの記事があった。
たしかに当初はガチガチでミスも多かったけど、途中からよくなった。
ミスをした後、「吹っ切る」って感覚が大事だなぁと思った。自分の経験は卑近かもしれないが、緊張とか焦りへの対処は「ええい ままよ」とか「もうどうにでもなーれ!」という、ある意味で「諦め」かな。
「パフォーマンスが悪い時、自分の弱さを認める」のは強みだという話も。うまくいかない身体、それを観察するもう一人の自分を持つことで、リカバリーが可能なのだろう。
あとは、「戦術はいくらでも変えられる」ということ。相手のあるスポーツなのだから、ただ己の自己ベスト(客観的な指標、タイムとか)を出せばいいスポーツとは違い、「何をどのようにやるか?」に選択肢がある。でも、その中で軸となることと、変更しやすいことを分けて考える必要がある。
また、やりたかったことを完全に出来なくても「一貫性を保つ」という表現があった。おそらく、「目標を立ててそれを遂行する」という流れ(PDCA)をめざし、立てた目標のためにどう行動できたか?を振り返れば、相手の邪魔が入って結果うまくいかなかったとしても、目標達成のための姿勢を取れたか、という視点での振り返りが可能なのだろう。「結果重視or過程も重視」の二元論ではなく、あくまで目的は結果を伴わせることなのだろうが、過程をきっちりと検証することで、次に向けての冷静な分析や変更ができる。
さて今晩は……、いよいよ日本代表対南アフリカ代表!
事前のインタビューで、選手達が「楽しみ」と言っていたのが印象的だった。
もうここまできたら、これまで見ていなかった新しい世界なのだから、「あとはやるだけ」なのだろうな。
冒頭、日本代表戦以外の方が楽しめるかも、と書いてみたが、あれは嘘だ。
「~じゃないですけど」という表現
言葉の使い方や意味は、時代と共に変わっていくもので。
ネットスラングや若者言葉、ミームやジャーゴンなどなど、特定のコミュニティで使われて広まって定着したり、広まらなかったりする新しい言葉があるし、昔からの言葉も意味を変えたりする。
こないだ気になったのは「~じゃないですけど」という表現。
これだけじゃ何とも、なのだが。
~っぽいけど、そこまで言うほどではない時。
例えば、災害からの復旧とかの話をしていて、「"被災地支援、ではないですが" 住民の方々の不便を解消するための方針を決定していきたい」など。
内容は正確ではないが、だいたいこんな感じの雰囲気のインタビューをテレビで観た。
……いやいや、それは"被災地支援"ではないですか!?という感想が心に沸き上がった。
テレビ取材だから断定を避ける、というのもあったかもしれないが、なんだか最近、こんな感じでちょっと断りを入れるのが耳につくような気がしている。
「~」の中身は慣用句でもいい。
例えば、「針小棒大、ではないですが、その案件の解決には担当者レベルの対応で十分かと」なんて。
何だろう、「おそれいりますが」とか「よろしければ」といったクッション言葉のような、ふわっとした感を出す言葉なのかなぁ。
もともとは、少し大袈裟だったり、ぴったりはまらなかったりする表現の補足のための使い方だと思う。
それが、「わりとそのもの」な表現をしているときにも広がってきたような。「~みたいな」の代わりに「~じゃないですけど」と、否定から入る。
意味が広がる、ということでは、
・「全く~ない」
全く、をつけたら後ろには否定の表現をつけなさいよ、と国語教師に指導されていた。
書き言葉では気をつけてみるけど、話すときは「ゼンゼン ダイジョーブ」「マッタク 同感ダヨ!」
・「さわり」
触れる、みたいな語感だから、導入程度と思いきや。
「ほんのさわりだけ、確認しとこっか」とか。
広辞苑によると、もともとは義太夫節の用語で、他の音曲の旋律を取り入れた箇所。「他の節に触っている意」から。
それが[曲中で目立つところ]:[最大の聴かせどころ]になることから、話の要点とか印象的な部分を意味するようになった、とのこと。
明鏡国語辞典には、同様の説明と共に誤用についての記載。
「冒頭・出だしの意で使うのは誤り。×さびのところはいいから、触りだけ聴かせて」とある。
張り子の虎のごとくうなずく。この例文はとてもわかりやすい。
でも、紛らわしいので"Touch"的に使うのも仕方ないかな、という感覚もある。
言葉は生き物。
はじめは誤用だとしても、いずれは辞書に新しい用例、として記載されることもある。
間違った言葉の使い方にモヤモヤとまではいかないのだが、むずむず?ドキドキ?を感じる。
でも、私が英語を使うときの表現はきっと、ほぼカタコトみたいな感じなんだろうし。
この先の世界がどうなるかわからないけど、日本語を母語とせずに日本語を話す人がもっと増えれば、言葉のもつ雰囲気とか、許容範囲も広がってくるのかもしれない。
「言葉尻をとらえる」じゃないですが。
美の壺「肥後象がん」
小説か何かで、言葉だけは聞いたことのあった「象嵌」。
こんなに美しいものだとは知らなかった。
伊勢志摩サミットで、肥後象嵌をあしらった万年筆が記念品として各国首脳に配られたとのこと。
もともとは、武士の刀の鐔(つば)の装飾として、その後に帯留めや笄、小箱、朱肉入れなどの身の回り品。
現代ではネクタイピン、カフスボタン、ループタイ、ベルトのバックル、ペンダントなどにも。
辞書を引いてみると、広義ではさまざまな素材の細工が象嵌と呼ばれているようだが、
肥後象嵌は、鉄に金や銀。
どうやって精緻な金色を描くかが、番組の中で示されていた。
1)鉄板に鏨(たがね)で細い溝を刻む:「布目切り」
縦横斜め、あわせて4方向に細かく刻んでいくことで、鉄板の表面上に細かい突起が出来る。
ブギーボードで書いてみた。
電子メモパッド ブギーボードBB-12とBB-1GXを比較してみた - やまびこ観測所
刻みの幅は、1mmの間に7本〜10本入るほどの細かさ。
↓
2)金を打ち込む
鹿の角を使って、型で抜いた金や、金線を打ち込んでいく。
鹿の角は、「独特な柔軟性があって、かたさと粘りづよさを備えている」素材。
示されていたのは、いちょうの葉や実の散らされた柄と、金線で描かれた菊の花。
いかにも秋らしく、なんともいい感じ。
特に、菊の花の描写の細かさに見入ってしまった。
職人さん曰く、「目で見えないのは指先で見る」とのこと。
前の段階での布目切りを細かく細かく行うことで、極細の金線を密着させることが出来る
↓
3)金をつけた後、金がついている部分以外の地の部分の「布目」を削り取る
(地の黒を引き立たせる)
↓
4)「さび」処理
金の装飾を施した鉄に、熱を加え、古来の処方の「さび液」に漬けることで酸化させる。
経年劣化で出来てしまうような赤さびとの違いは、きめの細かさ、膜のようになること。
赤さびは表面がぼろぼろだけど、この「さび」はそうじゃない。
さび液につかわれるのは「かわがにのみそ」「ねずみのふん」「赤土」「海水」「井戸水」「わき水」
黒魔術みたいですよね、と職人さん。
さび液の次は、お茶の葉で煮る。鉄がさらに真っ黒になる。タンニンが鉄に結合。
(蜂蜜を紅茶に垂らすと真っ黒になるのと同じ反応ですね)
お次は「煤油」。すすと油を混ぜたものを塗って、黒に深みを出すとのこと。
仕上げに、「イボタ蝋」。イボタロウカイガラムシという虫が分泌するもので、さび止めとつや出し。
辞書を引くと、パラフィンが合成されるまでは便利に使われていたものらしい。
別の種類だが、コチニールもカイガラムシから取っていたらしいし、カイガラムシは資源なのだな。
小さい頃に見ていた図鑑の印象で、テントウムシのエサになる邪魔者くらいに思ってしまっていた。
で、この「いぼ太郎」ならぬ「イボタ蝋」……?
イボタロウカイガラムシは「イボタの木」という木の樹皮に寄生するとのこと。
さらに気になって、Google Scholarでちょっと検索してみると、この虫についてけっこう色々な研究がなされている模様。
学名はEricerus pelaだが、通称はChinese White Wax Scaleとのこと。研究者の名前も中国のものが多い。Scaleはカイガラムシ。
美の壺の感想を覚えとこう!と思って調べていたら、なんだか面白い資源に巡り会ってしまった。
カイコもそうだが、小さい体ながら、そこそこの量のタンパク質や脂質を生成できるというのはスゴい。
トランスクリプトーム解析で、ワックス合成にかかわる遺伝子も同定されているみたい……?
もうそんな年じゃないが、夏休みの自由研究(というか調べ学習)の良いテーマになりそう。
紹介されていた品々で印象に残ったもの。
前述のいちょう、菊の花。
すすきと萩に鈴虫の宝石箱。
孔雀の朱肉入れ。
「二引透唐草象嵌鐔」
「桜破扇散図鐔」
「桜九曜紋透鐔」
林又七の作が有名、WEBでも見られる。
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/130784
永青文庫に所蔵のあるものも紹介されていた。展示などがあれば、いずれ実物を見にゆきたいもの……。
いや、本場の熊本にも行ってみたい。
このあたりに行けばよさそう。
[くまもと工芸会館]
[象嵌 光助]
http://www.mitsusuke.com/company/index.html
オーダーメイドの工芸品をつくっている職人さんもいるとのこと。憧れだな……。プレゼントにも良さそう。
肥後象嵌は細川忠興が発展に関与しているとのこと。
細川護煕氏曰く、肥後象嵌は「武士のダンディズム、ストイックな美しさ」
職人さんの言葉が心にしみる。
「細かいことに手を抜かない きのうよりもきょうは、もうちょっといいものをつくろうという気持ちで続けていると 細かい良いものが自然と残っていく」
ラグビー観戦を楽しんでいる(2)
ラグビーワールドカップ、日本代表がスコットランドに勝利。
自宅のテレビの前に体育座りをして、息を詰めて観ていた。
ほとんど家では飲まない上に、飲んだとしても1本のところの缶ビール、昨晩は2本も飲んでいた。
ラグビーはすごいな。
スポーツをしている人には共通の感覚なのかもしれないが、
選手のコメントなどで印象に残った内容を書き留めておく。
結局は、「目標を立てる」、「目標に向かって準備する」、「本番で力を出し切る」。
複数人の集まったチームでそれぞれのステップをいかにきっちりできるか、ということなのだろう。
当たり前のことがいかに難しいか……。
そもそも努力が苦手だったり、プレッシャーに弱かったり、という自分には学ぶことがたくさんだ。
選手達のコメントで多用される言葉は、おそらく彼らの準備の中でずっと共有されてきた言葉。
・「信じる」自分たちのやってきた努力を信じる
→相手チームのプレッシャーに打ち勝ち、平常心でプレーする
スポーツ、音楽、スピーチ、ちょっとしたプレゼンの場も……過度の緊張は本来出来ていたことを出来なくしたりする。音楽などでは、リハーサルの7割出せれば良い方、と耳にすることもある。練習と本番、失敗してもやり直しがきく場面と、きかない場面の差。
脳は状況を把握して、可能性を想像する。ペナルティゴールのキックが入れば味方に点が入る。この状況でポイントが入ればその後の試合の「流れ」が良い方向に向かう。キックが外れれば、試合時間はまだ長いので挽回の機会はあれど、せっかくのチャンスを失ったことになる……等。両チームの意識も、観客の目もすべて自分の蹴るボールに注がれる。体がこわばり、足がすくむ、手に脂汗がにじむ。それでも平静に自分のなすべきことを為すということ。
脳の一部の意識(理性)で、残りの本能的な部分や、体をコントロールしているのだろう。
困難な状況でも何かをやり遂げるという姿に感動してしまう。
・自分たちのスタイルをやりきる
実況などで、「準備してきたプレーをする」とか、「やりたいプレーが出来ていない」といった表現。
個々の特性、個人の集まりで成るチームの特性、強み弱みの分析、強い部分を伸ばす、弱い部分をリカバーする。対戦相手の特性を分析し、相手によって戦略、戦術を変えること。
準備して対応する、と相手の対応を予測してこれを封じるプレーをできるか、ということ。
・「目標と目的」
10月3日、NHKのニュース番組でのアイルランド戦での勝利についての浜畑……じゃなかった、廣瀬俊朗さんのコメント。
主将リーチ・マイケルのもと、チームが「目標」じゃなく「目的」にフォーカスできるようになった、と。
勝ち負けでなく、何を日本代表が目指すかということを考えられる、そうすると、持っている力以上のものが出せると。
正直、根性論とか精神論めいたものには抵抗感があるのだが、おそらくそういうことではない(それだけではない)。行動の先の先、をイメージできるかで、「力を振り絞れるか」が決まるのではないか。
代表選手のインタビューも、アイルランド戦サモア戦と、「ここがゴールではない」と強く意識している様子が印象的だった。選手が己にも言い聞かせている感じ。
日本ラグビーを盛り上げ、世界ラグビーを盛り上げる。もしくは、ラグビーで日本や世界を変える。本気で
それを信じていれば、ハードワークにも耐えられるし、痛くても走れるのだろう。なにかに熱中できれば、世界が変わるような感覚。
*根性論については、昔より許容できるようになったかもしれない。理論や事実に基づいて肉体を鍛錬するように、精神も鍛錬できるし、「メンタル」の持っていきかたが「フィジカル」に影響するっていうのも納得できる。鍛え抜かれたから走れるってのもあるけど、体力の限界にたどり着いた後もまだ走れる、ってのは本当に使命感というか……。特に今回の試合の終盤、選手の動きに涙。
・モメンタム、という言葉
チームで行うスポーツで、間を挟んで40分+40分。味方のミス、相手のファインプレー、「シマッタ」「ヤバい」からのリカバリーとか、うまくいってるからこのままミスせず行こうぜ!とか。「流れを作る」「流れを変える」そういうことが出来るのはすごい。組織の仕事だよなぁ……。終わった試合を解説されると、なるほど、と思うけど、刻一刻と変わる状況を把握してコントロールしていくのがすごいと思う。
もちろん、過去の経験から得られるものがあって、実行できていくのだろうけども。
試合の合間合間で固まって話して、サッと散る、そういうシーンが印象的だった。
開幕直後の特番を見てたときのメモを振り返ったら、試合を何試合か見た後だからこその納得感があった。
>ミスを恐れることがミス
>分析するときは分析、分かるように努力する
>本当に強いのは、相手の攻撃を断つことのできるチーム
>シンプルな判断を短い時間で下しながらコミュニケーションを取るのはすごく高度
>仲間と具体的なイメージを共有すること。誰をマークすべきか、互いの役割を明確にし仲間を信じてプレーする
>疲れが激しくなると判断が鈍くなる。そういうときにでも仲間と意思疎通できるようにする
しかし、日本が強豪に勝って嬉しいのももちろんだが、良い試合を観られて楽しかった!
ほとんどスポーツに興味がなかった自分がこんな感想を抱いているのが不思議。このままラグビーファンになってしまうのかはまだ解らないが、なにか熱中できることがあると、日常生活に張りがでるから良いな。
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もう、リーフパイじゃなくてラグビーパイのままにしてもいいんじゃないかな!?
お茶やコーヒー味のお菓子にあわせるべき飲み物考
答えが出ないことを楽しめる問いに思いを巡らせるのは気楽で、贅沢で、いい気持ち。
現象を説明づける理論も、直面している課題をバシッと片付けて今後も運用可能な解決案も要求されない。
事実を整理して、物事を計画する頭脳労働には糖分が必要。
という、机仕事での片手間にするおやつ摂取を給油とか充電みたいだと思いつつ、それなりに楽しんではいるのだが。
頭ゆるゆる休日の、ティータイムは心やすらぐもの。
堅めのクッキーにミルクティー。シフォンケーキにはストレートのセイロン。
チーズケーキにコーヒー。大福もちにほうじ茶。落雁に煎茶。
などなど、色々な好みはあれど、「このお菓子ならこのお茶やコーヒー……
(ところで、お茶とコーヒーといちいち合わせて書くのが面倒になってきた。
お茶とコーヒー的な、嗜好品的飲み物を合わせた言葉はないものかしら。
お茶といっても紅茶も中国茶も緑茶もあるし、何なら麦茶に黒豆茶、ルイボス茶やマテ茶もある。
チャノキだけでもないし、葉っぱの抽出液だけにお茶って名前がついている訳でもなく、
コーヒーだけ仲間はずれはかわいそうなので、以降はコーヒーも想定して「お茶」と表記しておく。)
……などなど、「このお菓子ならこのお茶」、といった合わせ方の好みが自分の中に出来上がりつつある。
好みと気分によるし、同じ名前のお菓子でも、色々なタイプのものがあるので、
パターンが決まり切っているわけでもないのだが。
珈琲推しの喫茶店に行った時は、コーヒーありきでケーキを選択する。
甘みがしっかりしたもの、どっしりした重めのチョコレートケーキなどもいい。
ただし、硬くてキャラメルが苦そうなプリンがあったら、ぜったいにプリンを選んでしまう。
ドトールコーヒーのミルクレープもいいなぁ……。
紅茶専門店に行ったら?
コーヒーショップにあるお菓子よりは重くないもの。
前述のシフォンケーキやアメリカンワッフル。クレープシュゼットもいい。
マドレーヌやフィナンシェは?コーヒー、紅茶どちらもありだな。
オイルが浮いてくるようなフレンチプレスでいれたコーヒーで、焼き菓子のバターとコーヒーの油脂があわさる感じもいいし、ダージリンのキリッとした渋さで洗い流してもいい。ミルクを入れたウバも合いそうだ。
和菓子には緑茶かほうじ茶、甘みがしっかりしたものならほうじ茶、あっさり系なら緑茶をよく選ぶ。
あえて紅茶やコーヒーを合わせるのも、最近は好きになってきた。
薄皮饅頭にコーヒー。最中に紅茶などなど。
お菓子の分だけお茶の選択肢を想像できる。
やはり、お菓子があってからお茶を選ぶという順番かなぁ。
よほど気に入りのお茶であれば単品で飲むし。
もちろん、お茶なしでお菓子を食べることなんて、ほとんど考えられないのだけど。
(牛乳に鈴カステラ、とかは除く。朝に飲んだり、お茶に入れたりする以外で
牛乳を飲むことがほとんどなくなったが、たまにおやつに合わせると懐かしい気分になれる)
ところで。
紅茶味のクッキー。抹茶味のケーキ。コーヒーゼリー。
上は例示に過ぎないが、世の中に、お茶の味をしたお菓子は結構たくさんある。
そして、おいしいのでどれも心を惹かれてしまう。
しかし、このお菓子達にどのお茶をあわせるべきなのか?がいつも解らなくなる。
とくに、お茶の味の主張が強いときなど。
紅茶味なら紅茶を合わせて統一させておけばいい?
でも、アールグレイがぷんぷん香るシフォンケーキに別の紅茶を合わせてよいもの?
アールグレイ味のシフォンケーキに、アールグレイを合わせるなんて粋じゃないのかも。
あえての中国茶、凍頂烏龍みたいな青茶が合ったりして??
悩みはつきませんが、選べる中から良さそうなものを選ばねばなりません。
さて、本日のおやつはこちら。
秋限定「ロイヤルミルクティー味」の牛乳プリン。
秋→落ち葉→香ばしさという連想で、加賀棒茶と共に。
均一なものかと思いきや、紅茶味のプリンの上に、クリームが掛かっている。
ジャージーを名前に冠しており、濃厚さが売りの様子。
牛乳、というよりはスキムミルク的な乳成分の味、缶入りミルクティーのような風味も感じたが、食べ応えのある味わい。
棒茶の香りとすっきり感がよい相棒になってくれた。
濃度は0.2%未満とのことだが、洋酒が入っているのも良いバランスになっているのかな。
ラムかブランデーを追いがけしても良さそう!と食べ終わった後に思い立った。
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お茶とお菓子のマリアージュを模索する日々。
「ぼくのかんがえた さいきょうのチャイ」のつくりかた
涼しくなってきたので、煮出し紅茶など淹れてみました。
数年前からなんとなく作っているやり方と材料を、備忘のために書いておきます。
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【ポイント】
- 好きなスパイスを挽いて入れる
- 茶葉を多めに使う
- 牛乳を煮立たせない
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【材料】
・スパイス:好きなものを好きな分量、比率で。
コリアンダー、オールスパイス、カルダモン、クローブ、胡椒(ホール)、シナモン、しょうが など。
今回は以下の写真のものを。
↑左上から時計回りに、コリアンダー、オールスパイス、ピンクペッパー、カルダモン、クローブ
薬師(くすし)、になった気分で、乳鉢を使ってごりごり挽いていきます。
煮出すだけでも香りは出るとは思いますが、砕いたほうがよさそうです。
カルダモンはさやに入っていて、乳棒でつついてもやりづらいので、あらかじめほぐしておきます。
(さやも実も入れる)
↑スパイス達をほどほどに細かくする
スパイスはなければないし、分量も適当ですが、チャイらしさを出すにはカルダモンとクローブが重要だと思っています。
今回は生の生姜ではなく、粉末の生姜湯を使っています。
生姜湯は、うっかり購入して以来、ただ飲むだけでは消費しきれないのであちこちに入れています。
要は、生姜+砂糖だな!と割り切ってからは、豚肉のしょうが焼きなどの料理にも使います。
(焦げやすくなるので要注意ですが)
生姜はわざわざ可食部を刻まなくとも、料理用に剥いた皮の部分を転用しても香りがよいです。
・茶葉
アッサム、ウバ、その他も、ミルクティー向きのものなら何でも良いと思います。
CTCタイプのものが気分が出てよろしいのですが、今回はリーフタイプで。
コスパ重視で、「日東紅茶 こく味のある紅茶」を買ってみました。135gで約500円と、破格。
スパイスをしこたま入れてしまっても紅茶にあまり申し訳なくないし、
量を惜しまずに使えるのでよい。スーパーで買えるのもありがたい。
・牛乳
普通の牛乳。低脂肪乳じゃない方がいいです。
【作り方】
・手鍋に水とスパイスを入れて加熱し、数分沸騰させる
水は最終的に作りたい量の半分より少し多い位を。ぐつぐつしている間に減るので。
・茶葉を追加し、数分煮出す
鍋の中身がとたんにダークになるので、魔法使いの気分です。
↑ここまでは火に気をつければ余所事をしていても大丈夫。
・砂糖を好きなだけ入れておく
どの段階で入れても味には大差ないと思うのですが、牛乳を入れて液量が増える前に入れておくようにしています。
精製の粗い砂糖の方が感じが出ると思います。チャイは、カロリーを気にしながら飲むものではないので、少し甘すぎくらいでもいい。
・鍋の液体と同じくらいの量の牛乳を追加。かき混ぜながら加熱し、煮立つ前に火を止める
この作り方でいちばん気をつけているのが、ぜったいに牛乳を煮立たせないということ。
加熱ムラのないようにぐるぐる混ぜて、鍋肌からふつふつするのも待たないくらいでおしまいにします。
どうせ熱々は飲めないのだし、ぬるくない程度に温まればよいのです。
牛乳の風味にこだわっている……というより、煮立たせると洗い物がめんどうだから、というのが大きいです。
もし、煮立たせてしまいかけたら、火を止めてからカップに注ぐまでに少し待ちます。
こうすると、鍋にいる間に牛乳の膜が張ってくれて、飲むときに邪魔じゃなくなるので。
小さい頃に読んだ、ドリトル先生だったか?こども向けの小説で、変わった文化(小人の世界だったかな……)のお茶会に招かれて、「牛乳の膜を掛けておく道具」というのが出てきたのを思い出します。確かに、カップの縁は論外として、スプーンに引っかけても見た目がよろしくないし、悪くないアイデアです。
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飲むまでに時間がかかるわ、洗い物もたくさんでるわという訳で、時間と心にゆとりのあるときしか作らない代物なのですが、たっぷり2杯を飲み終わる頃には体がすっかり温まるチャイです。
良品週間 2019年秋で買ったもの
増税前の良品週間……
よっしゃー!と思いきや、「10月1日以降も価格を変えません。もちろんこれからも消費税込み価格。」との案内が出ており、一部の商品を除いて税込み価格が据え置きとのこと。さすがは無印良品様。私の魂の何割かは確実に無印良品様に捧げられている。
駆け込む必要も薄れたが、いくつか目星をつけていたものを購入。
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フィットする ネッククッション・フード付(杢黒)
https://www.muji.net/store/cmdty/detail/4550002868512
空気で膨らませるタイプのものを持っていたのだが、経年劣化か空気が漏れるようになってしまっていたので買い換え。中には「人をダメにするソファ」と同じポリスチレン製のマイクロビーズが入っており、じんわりと頭の重みを支えてくれる。クッションのむちむち感がくせになる……!
しばらくは移動の予定もないが、と思っていたが、手にできたうれしさもあって家で活用している。これが中々便利。首に巻いておくと、ソファでごろごろしている時も頭が安定する。また、ベルトを巻かない状態でも座ったときに腰に当ててみたり、膝においてみたりすると、姿勢が安定したり、腕が置けて楽だったりする。小さめだが、抱き枕のようにも使えるかも。
かさばるのと、重量があるのは移動時にはネックなのだが(首だけに)、機能のメリットはかなり大きいと思った。顔周りで主に使うものなので、カバーが取り外せて洗えるのもよい。フードは使用したい時だけ取り出せる仕組み。ファスナーが2本ついており、外側のファスナーと内側のファスナーの間にフードが収納できるようになっている。つまり、フードを使わないときは外側のファスナーを閉めておく。フードを使うときは、外側のファスナーを開放してフードを取り出し、内側のファスナーだけ閉めておく。マイクロビーズの包まれたクッションと、フードが入れ子構造になっていることに、なんだか妙に感心してしまった。実物を見ずにWEBから購入したので、うっかりフードなしのものを買ってしまったか、と一瞬焦ってしまったこともあり、2つのファスナーを何度も開け閉めしてうなずいていた。
また、ファスナーと布地の相性も悪くなく、よほど雑に扱わなければファスナーが身を噛んでしまう事故は起こりにくそう。首に巻いて頭を支えると、ベルトにかかる負荷が心配だが、縫製はしっかりしているので、すぐに千切れたりはしないだろう。くつろぎ時間に有益であることと、この作り込まれた設計を考えると、他のネッククッションにくらべて高めの価格でも、お買い得に思えた。
長距離移動の時にはフードを展開してみようと思う。 WEBサイトの写真だと、頭がとんがって見えるせいか、東京オリンピックの「かぶる傘」を想起してしまうし、これでマスクをつけたらどう見えるのかな……?と思ってしまうが。移動時の快適さを追求すると、周囲の目線は気にしないことにするしかないのであり。
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ヌメ革 バックルの無い ベルト
https://www.muji.net/store/cmdty/detail/4550002995232
口コミの評判がよかったので、必要にせまられていてもないのに、うっかり購入。しかし後悔はなし。
使ってみると、なんでベルトにバックルが必要だったのかが、思い出せない……!
新品だと穴はややキツめだが、ベルトの末端を引っ張りながらだと、つけ外しがしやすい。バックルが出っ張ったりしないのでよいと思って(おなかが引っ込んでいれば良いことなのだけど…)購入してみたが、トイレでカチャカチャ音がしないのもなんとなく良い。使い込んだときに、穴がどれくらい広がってしまうのかが気になるが、無印良品らしい、「良品」という印象。
うっかりついでに、はじめネット通販で黒を購入した後に、実店舗で見た茶色に惹かれて色違いで購入してしまった。色調の個体差がそれなりにあったので、店頭に並んでいた数本をためつすがめつ。つくづく、革製品に弱い自分を実感。
ヌメ革とは染色がされていないものかと思っていたのだが、辞書を引いてみると、「タンニンなめし」との記載のみ。いかにもヌメ革の、ベージュが飴色になっていく様子も実にすばらしいが、染色されていた方が安心してエイジングを楽しめるところ。
通販では黒のベルトに黒い部品がついていて、これを使って留めるのか?と思ってしまったが、これはただ単に、店舗での陳列用の部品らしい。写真右側の穴がフックにかけられていた。
穴のひろがり具合など、どう使い勝手が変わっていくのか楽しみである。
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「蜜蜂と遠雷」の感想
音楽とは何なのか、人はなぜ音楽を紡ぐのか
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「蜜蜂と遠雷」を観てきた。
小説を読んでいて、結構気に入った作品だと感じていたので、テレビの宣伝で映画化を知り「お!」と思った。そのはっとした気持ちを逃さぬよう、休日早朝の回へ。
全年齢向けの映画だろうが、早朝であれば客層も落ち着いているかな、という読み。
早起きの甲斐あって、映画にきっちり没入できた。
その作品を観たかったら、ちょっと待てばDVDで家でゆっくり観られるし、ストーリーならもう本で読んでるし、何なら録画済みの別の映像はまだ溜まってる。なので、映画を見に行くというのは自分にとっては結構な贅沢なのだ。というわけで、上映前は映画の始まるわくわく感を静かに味わいたいし、エンドロールが終わってゆっくり席を立ってシアターを出て行く、その時間まで楽しみたい。
その、自分にとっての贅沢に値する時間を味わえた。劇場で観られて良かった。
役を演じる、というのはつくづく不思議なことだと思う。
特に、原作ありの映画だと、自分が文章を読みながら心に描いていた登場人物と、スクリーンで動く俳優を比較する。あえて直前に小説を読み返したりしなかったせいもあると思うが、映画を観た後に読み直したら、登場人物達は映画の出演者達で描き直されてしまうと思う。それくらい自然な映像だった。コンテスタント達が海辺で遊んでいるところとか、まさにこれだ!という感じ。
映画を観に行った目的は、ほとんど「春と修羅」を聴きたい!というところにあった。
マサル、明石、風間塵、栄伝亜夜のカデンツァ。すべてそれらしいな、と思った。
演出が効いているのもあるが、風間塵のシーンはとても恐ろしく感じたし、その後の栄伝亜夜に救われた。
明石のテーマ「生活者の音楽」というのもちゃんと表現されていたと思う。
ザ・イケメン俳優という括りに勝手に分類してしまっていたが、松坂桃李がちゃんと高島明石だった。
予選を落ちた後にコンテスタントの演奏を聴きに来る場面で、カーディガンにチェックのシャツ、チノパンというカジュアルな装いになっているのも印象的だった。衣装といえば、栄伝亜夜の普段着が丸首のニットで統一?されてたような。ロングスカートに編み上げブーツがかわいい。
例外もあるが、人と人が一対一で向き合い、影響し合う(救い合う)シーンが多かった様に感じた。3人以上のシーンももちろんあるのだが、なんだか2人の世界、という場面が印象的。そもそも映画ってそういうもの?人生ってそういうもの?なのかもしれないが。亜夜目線での風間塵、マサル、明石。マサルにとっての亜夜。明石にとっての亜夜。あれ、栄伝亜夜ばかりになってきた。
こうやって登場人物の関係性を思い返してみると、恩田陸の小説はキャラクター小説っぽいところがあるから、映画化向きな部分もあるのかもしれない。というか、映画は小説のそういうエッセンスをすくい取って、映画らしい部分も付与しているのかも。
私自身は天才とは無縁な人生だけど、過去の栄光(と現在の乖離)、とか、何かから逃げ出した経験、とか、栄伝亜夜のトラウマめいた部分に共感出来る要素を自分の中に感じてしまって、観ていて苦しかったシーンがあった。最後にカタルシスがあって安心、の感。三角形のらせん階段の絵面も印象的。
劇場で観て良かったこと。
・心象風景というのか、雨の描写や走る馬の映像の美しさ
・ピアノコンチェルトのシーン、まるでホールでの演奏を聴いているようだった。
・そして、まるで自分が音楽家になって喝采を浴びているような音響。
その他、印象的だった場面など
・クロークの片桐はいり、反則級の役だと思った。ステージマネージャーの田久保寛(平田満)の掛け合いといい、こういうことで一気に映画の世界に引き込まれるというか……。
・風間塵の、ピアノを弾きすぎて流血した指先に瞬間接着剤を塗り込むシーン。音楽への異様なまでの情熱?
・レクイエムの演奏場面、背景の水に浮かべられた灯籠、灯籠を背にした指揮者 小野寺昌幸(鹿賀丈史)、ホールでの演奏場面に映った後、ホールの照明を似たように背にする。
・関係ないが、「のだめ」の千秋(父)も字は違うが雅之という名だったな……
・「今弾けるピアノ」を探す亜夜に、明石が紹介したピアノ修理職人(眞島秀和)。急に出てきて何だかびっくりしてしまったが、おいしい役…。
・審査委員長 嵯峨三枝子(斉藤由貴)の重鎮感。いるだけで酸いも甘いも噛み分けたベテランピアニスト、の感はさすが。深みのある顔。昔スケバンで鳴らしていたわけでは無いだろうが……小説では他の二人の審査員と合わせて「不良」扱いされている。
・撮影監督はピオトル・ニエミイスキというポーランドの方。あの独特の映像に納得。
・明石の高校の同級生の記者、仁科雅美(ブルゾンちえみ)。事前情報をあまり目に入れないようにして劇場に行ったが、ブルゾンちえみの出演だけは頭に入っていた。まさかギャグシーンではないよな、と思っていたがちゃんと雅美だった。なんかびっくり。
・小説で、亜夜を支える浜崎親娘は出てこない。浜崎奏と栄伝亜夜の関係が箸休めのようになっていたのでちょっと残念だけど、映画には収まりきらなかったかな。
・マサルの使っている電子楽譜。電子書籍があるのだから、当然の発想なのだろうけど世の中に存在しているとは知らなかった……。足で譜めくりできるようで、これは便利そう。
・亜夜とマサルの水筒カバー。小説では布のバッグだったけども。二人が幼なじみだったと気付くまでのじわじわ感も省略されてる。
・映画を見に行くときに、お供の飲み物をどうしようかと思い、「蜜蜂と遠雷」なら紅茶だな、と思っていた。そういえば、魔法瓶に入った濃いめの紅茶、が描写されていたのだと、映画を見始めてから思い出した。
水筒から飲む紅茶、に独特の懐かしさを覚える。ポットで淹れて、口の広いティーカップから飲む紅茶よりも、明らかに風味が劣っているはずなのだが……。受験勉強をしていた子供の頃、母親が作ってくれた記憶だ。持っていた水筒の姿形も思い出せる(そして、実家にまだ現物が眠っているような気もする)。
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ラグビー観戦を楽しんでいる
「4年に一度じゃない、一生に一度だ」
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ほとんど興味が無かったのに、ドラマ「ノーサイド・ゲーム」をきっかけに、ラグビーに対する心のハードルが下がった。テレビで放映される試合をいくつか観ているうちに、わからないなりに少しずつ楽しめるようになってきた。
ルールは十分に理解していないし、観ていても「今の何??」というシーンも多々ある。でも、試合の一コマ一コマに一喜一憂し、点が入ったり良いプレーがあったりすると「よっしゃ!」と拳を握る、そんな人格が出来てきた。なお、最近は応援するチームの選手がトライを目指して走っていると、つい足を突っ張ってしまう。これはマリオカートをプレイしていると体が動いてしまうのと同じような現象だと思う。
もうちょっと早く楽しめるようになっていたら、ワールドカップの試合チケットを買って観戦できていたかも、との思いもあるが、これはこれでなりゆき。ワールドカップ特番をチェックしていたら、なるほど!と思うことが多々あったのでまとめておく。
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「さし旅 ラグビーマニアと巡る感動!TV観戦ツアー」
1. 先頭ランナーはボール!
ボールに注目して、選手の動きを観る
2. ボールは巨大化する!
「モール」選手の集まり全体を、ボールに見立てて説明。なんで皆で固まってるの??という疑問が解決した。そして、モールからボールが出てくる瞬間にも注目ポイントとのこと。たしかに、盛り上がるシーンだ!
3. トライは3度おいしい
・トライそのものの盛り上がり!
・画面の外側から突然現れる選手を楽しむ
これ、TV観戦の限界とも思いつつ、、、別途、俯瞰カメラの映像をWEBサイトから確認できるらしい。
・リプレイでみんなで盛り上がる
なるほどと思ったことなど。
「やぐら」ラインアウトの時に、ボールを取る人を持ち上げるシーンを、「やぐら」と表現。確かに……。後述の動物のたとえだと、キリンの人。
モールで、一人だけ立っている人が何をしているのか、もみくちゃにされているように見えていたが、味方に指示を出す役割の人だと知った。
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「グッと!スポーツ ラグビーワールドカップ2019開幕直前SP」
https://www4.nhk.or.jp/g-sport/x/2019-09-18/21/28049/1743116/
https://www.nhk.or.jp/sports-story/detail/20181019_3272.html
ポジションの役割を動物(人間含む)にたとえて解説していた。
背番号の意味とか、どういう役割の人でチームが構成されているの、試合の中のシーンがどういう意味なのか、という部分について、理解が深まったと思う。
日本チームでイメージできるよう、アイルランド戦でのメンバーも記載しておく。
ポジション名 | 動物 | スターティング | 交代 | |
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1 | PR/プロップ | ゾウ | 稲垣 啓太 | 中島 イシレリ |
2 | HO/フッカー | イノシシ | 堀江 翔太 | |
3 | PR/プロップ | ゾウ | 具 智元 | ヴァル アサエリ愛 |
4 | LO/ロック | キリン | トンプソン ルーク | ヴィンピー・ファンデルヴァルト |
5 | LO/ロック | キリン | ジェームス・ムーア | |
6 | FL/フランカー | ゴリラ | 姫野 和樹 | |
7 | FL/フランカー | ゴリラ | ピーター・ラブスカフニ | |
8 | No.8/ナンバーエイト | ライオン | アマナキ・レレイ・マフィ | リーチ マイケル |
9 | SH/スクラムハーフ | 猿 | 流 大 | 田中 史朗 |
10 | SO/スタンドオフ | 人間 | 田村 優 | |
11 | WTB/ウイング | チーター | レメキ ロマノ ラヴァ | |
12 | CTB/センター | 虎 | 中村 亮土 | |
13 | CTB/センター | 虎 | ラファエレ ティモシー | |
14 | WTB/ウイング | チーター | 松島 幸太朗 | |
15 | FB/フルバック | タカ | 山中 亮平 | 福岡 堅樹 |
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昨晩の南アフリカ対イタリア戦も面白かった!
前半から怪我での交代が多かったりして、やっぱり痛みの多いスポーツだなとも思いつつ…(終了間際、審判も脇腹にボールが当たって痛そうだった)。
コルビの俊足に感激。倒れた相手選手に手をさしのべて身を起こすのを手伝う様子にも感動。
それと、体育会系経験の浅い私の意識が低いのだと思うが……
明らかに点差がついていて、これ以上頑張っても残り時間では巻き返せないような状況でも、相手に攻め込んでいくイタリアの姿勢も印象的だった。そして、1トライくらい取られても状況は変わらないだろうに、あくまで守り切る南アフリカ。そしてノーサイド。
今晩は日本対サモア。今から心臓バクバク。
2019年夏ドラマ振り返り:監察医 朝顔
映画のようなドラマシリーズだった。しみじみ見ていた。
前半はわりと1話毎に区切りがありつつ、朝顔先生(万木朝顔:上野樹里)とお父さん(万木平:時任三郎)の過去の描写が深められていく。そして、桑原くん(桑原真也:風間俊介)との関係も進行していき、新しい家族が出来上がっていく。後半、娘のつぐみ(桑原つぐみ:加藤柚凪)が生まれ、慌ただしい生活とさらなる事件。
万木家のシーンがよかった。あの一軒家、本当に朝顔が生まれ育っていそうな。
当初、東日本大震災の記憶を背負った親子二人がなんだか痛々しく、見ていて辛いように感じていた。だけど、ちゃんとごはんを作って食べて生活している様子が描かれていて、'Life Goes on'の感覚を得た。桑原くんが来て、つぐみが生まれて成長していく中で、家族の囲む食卓がにぎやかになっていくのも嬉しい気持ちがした。最終話の、発表会のためにリスの扮装をしているつぐみちゃん、愛らしすぎです……!
解剖学教室の面々。茶子先生(夏目茶子:山口智子)の自由人な感じは時期的に「なつぞら」ともなんとなく重ねて見てしまい、そのうちオデンでも振る舞い始めるのでは、と思ったりしていたが、困ったときには頼って良い人がボスってのはいいなぁと思った。前半は医学生の"みっちゃん"だった光子先生(安岡光子:志田未来)の成長も良い感じ。元子役の志田未来ちゃん、と思っていたが、調べたらもう26歳……!「女王の教室」や「14歳の母」の印象が強かったが、、、今後の活躍も楽しみ。
法医&法歯学者の藤堂夫婦(板尾創路、平岩紙)に検査技師の高橋くん(高橋良介:中尾明慶)、後半から登場の医学生熊田(熊田祥太: 田川隼嗣)。最終話、モップを持って突っ立ってしまった熊田に藤堂が言う「ロックスターかよ!」っていう突っ込みが何だかツボだった。
居室内に掛けられていた、島津製作所のカレンダーが印象的。あの2か月分見られて視認性があるのと、ちょうど良いサイズ感がいいんだよ……!と心のなかで頷いていた。
警察関係者も、また良い感じの役で。警察サイドを主眼にしたスピンオフとか、見てみたいと思った。山倉係長(山倉伸彦:戸次重幸)は万年係長にしちゃカッコよすぎな気もしたが……(天陽くんのお父さんだから仕方ない)。アクの強めな検視官丸屋(丸屋大作:杉本哲太)も最終回で一致団結!なのは、ベタと思いつつ胸が熱くなる展開。桑原くんの異動後、お父さん(万木平)とペアを組んでいる愛川刑事(愛川江梨花:坂ノ上茜)、何だか印象に残る人であった。
ヒロインの朝顔がスゴい!だけの描写でないのも良かったかな。人一倍思いやりが強くて、相手に共感しようとするのが魅力的。そして、桑原くんをたまにバサッと切り捨てるさばけた感じも素敵。でも、終盤の事件では感情的になってしまって茶子先生に諫められるシーンもあり。上野樹里の眼力の強さ、姿勢の良さ。
衣装も素敵だったなぁ。
と、ここでダイワハウスのCMを思い出し、相手役のヘタレさんはだれだったっけ、と検索してみたら中村倫也……!ゴン、お前だったのか……。「凪のお暇」の感想もいずれまとめておく。
最終話、「仙ノ浦」駅で朝顔が歩き出せてよかった雰囲気で収束すると思いきや、里子(万木里子:石田ひかり)の生家でじいちゃん(嶋田浩之:柄本明)が幻影を見てしまい、「何で里子はここにいないんじゃ……!」と慟哭。何年経とうが、近しい人を突然失った痛みは、癒えているようで癒えていない。それでも自分は生きていくしかない。
人の死に向き合う仕事。死因を解明するため、対象に真摯に向き合う姿勢。
自分の力ではどうしようもないことに遭遇し、身を裂かれるほどの苦痛を経験しつつ、何とか生きていく。
明日放送予定の特別編も、とても楽しみ。
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死因といえば、この本を読んでいないのを思い出した。
死因解明、解剖、監察医、ということであれば、チェックしておきたいところ。
『死因不明社会』(海堂 尊):ブルーバックス|講談社BOOK倶楽部